2013年12月09日

明治43年(1910年)に書かれた禁煙啓発本(国会図書館)

※注意 本記事は、喫煙をすすめる物ではなく、あくまでも、嗜好品としてそのようなのがあるという紹介記事です。
※嗜好品であるお酒、タバコは、20歳以上の成人になってから楽しんでください。
※ガンなどの特定疾患の患者に、喫煙を行った経験があるという統計があります。タバコと特定疾患発症の因果関係は、立証されていませんが、特定疾患とタバコの因果関係が無いという証明もされていません。
各個人の自己責任にて楽しんでください。

今日は、国立国会図書館デジタル化資料として公開されている書籍の中に、明治43年(1910年)に書かれた禁煙に関する本がありましたので紹介したいと思います。

国立国会図書館デジタル化資料
実験禁煙法(国立国会図書館デジタル化資料)
明治43年(1910年)に書かれた禁煙啓発本(国会図書館)

明治43年9月 安藤健寿 (義信) 著

この本の作者さんの文章は結構味があって面白いです。

標題
著者が禁煙に成功したので禁煙を行っている人、これから行う人、行う気がない人に禁煙の参考となるように本を書きました。
目次
第一章 喫煙と健康/1
・一 禁煙と健康/1
「酒と煙草は養生に害あり」というのはあなたも聞き飽きているよね?
・二 健康と智識/3
健康を保つ上で知識は重要です。
・三 健康と感情/3
健康を保つ上で感情を制御する事は重要です。
・四 健康と人格/4
心身共に健康であることが偉大な人格を形作る上で重要です。
・五 健康と名士/5
名士も心身共に健康であり、人格者が多いです。
・六 健康と煩悶/5
時には辛いこともあるかもしれないが、うまく乗り切る事が大事です。
・七 健康と事業/6
事業をするのにも健康は大事です。
・八 健康と成効/7
健康は大事です。
第二章 煙草の紀元/8
・一 初めて煙草を発見したる時/8
・二 欧洲に煙草の渡りたる初め/10
・三 我国に於ける喫煙蔓延の模様/10
・四 科学上より見たる煙草/12
・五 「タバコ」と云う名称の由来/12
・六 欧州各国に於ける禁煙令発布の状態/14
・七 我国に於ける禁煙令/17
第三章 経済上より見たる喫煙/22
・一 煙草は実際に不必要品なり/22
一部の喫煙者は、煙草は他の人と話する時には必須だというが、
煙草は必須では無くコミュニュケーション力の方が重要である。

・二 吾人は如何に多額の金銭を烟にするか/24
刻み煙草を1日3匁(3.75g)消費するとすると銘柄の平均金額では1月平均2円3銭
紙巻き煙草を1日1箱消費するとすると銘柄の平均金額では1月平均2円91銭
葉巻煙草を1日3本消費するとすると銘柄の平均金額では1月平均10円10銭
「塵も積もれば山となる」ということわざの通り少額であっても大きな金額になります。

・三 世人が空費する貴重なる時間/27
朝起きて一服、食後に一服、時間が空いたら一服、一服の時間を合計すると旅行に行ける時間さえできる。
・四 車夫馬丁輩の喫煙/29
給料が安くても倹約してでも喫煙する。
・五 我国に於ける煙草の産額/29
・六 煙草輸入の状態/31
・七 全国に於ける煙草の総消費額/32
・八 喫煙と火災との関係/33
煙草の吸殻を火種とする火災がある。
第四章 衛生上より見たる煙草/34
・一 薬学上より見たる煙草/34
薬物としての「ニコチン」は毒性が強い。
・二 医学上より見たる「ニコチン」中毒/39
少量だと興奮作用があるが、量が多いと鎮静作用がでてくる。
・三 「ニコチン」中毒の模様/40
長い年月をかけて体が悪くなる。たとえば、私なら、視力、聴力、嗅覚などが落ちるなど悪影響を感じる。
・四 如何にして「ニコチン」は吸収せらるるか
皮膚や粘膜から吸収される。
・五 喫煙は精神病の原因となる/47
うつと喫煙の関係がありそうだ。
・六 喫煙者は手足が冷へ顔の色が悪い/48
顔色が悪い人が多いように感じる
・七 喫煙者の家族は呼吸器病に罹り易い/48
家族にも害があるので禁煙するべきである。
第五章 喫煙によれる性格の変遷/49
・一 其習慣極めて付き易し/49
喫煙は生活習慣と同じになっている。
・二 漸々に贅沢が増長し易い/50
高い銘柄の煙草を吸い始めるようになると、身の回りの物にもお金をかけ始める事が多い
・三 性質が悪くなり易い/51
酒の毒を戒めることわざに、「一杯にして人酒をのみ、二杯にして酒酒をのみ、三杯にして酒人をのむ」というのがあるが、同様にして喫煙者も煙草に飲まれる。
・四 陰鬱な人になり易い/52
煙草は、興奮作用や、鎮静作用があるため、陰鬱な人になりやすい。
同様に、お茶、酒、清涼剤なども同じようになりやすい。

・五 巧言令色の人となり易し/54
喫煙により神経質、虚言癖、短気、冷血などになったりする。
・六 金銭に対する感念が偏し易い/55
喫煙により、金銭の取り扱いがルーズになったり、守銭奴になる。
・七 依頼心強き人となり易い/56
喫煙により他人任せな無責任な性格になる。
・八 勤労を厭ふに至り易い/56
喫煙により「働いたら負け」のニートになる。
・九 遊惰に流れ易い/58
喫煙により「今さえよければ良い」という性格になる。
第六章 禁煙の実行法/58
・一 愛煙者の口癖/58
喫煙者は3つに分けれる。
(1)禁煙したいとは思っている。(2)やめられないので続ける。(3)煙草をやめると楽しみが無くなる。

・二 喫煙の習癖は一番止め難い/60
嗜好品の中で興奮作用があるのは、お茶、酒、煙草がある。
お茶、酒、煙草の順でやめにくい。

・三 喫煙の習慣は廃し得べきものなり/60
喫煙は悪癖なので、意思を強くもってやめるべきである。
・四 機会を利用して禁煙する法/62
思い立った日から禁煙を開始する。
・五 其一時を忘れつつ行ふ禁煙法/62
清涼剤を舐めたりして気合で禁煙する。
・六 漸々に節減して禁煙する法/63
節煙して止める。
・七 吾人が実行したる禁煙法/63
病気になったので禁煙を決意しました。
禁煙前の悪癖を律し、早寝早起きを心がけ、適度な運動を始めました。
1週間に最低1日はしっかりと休息を取るようにしました。
感情に任せずしっかりと考えて行うようにしました。
カフェインが入っている飲み物を控えるように心がけました。
酒に五損あり。「健康を損し、財を損し、時を損し、子孫を損する」のとおり、酒を律することが、健康状態改善の実感が大きかった。
お菓子を控え、過食を注意した。

・八 方法の励行による結果/70
心と体が健康となる実感を感じるにつれ煙草が欲しいとは思わなくなった。
第七章 禁煙によりて得たる利益/71
・一 時間と金銭に余裕が出来る/71
煙草を喫う時間が浮き、タバコ代の分金銭に余裕ができた。
・二 次第に人格が高潔となる/72
高潔な人格となったように感じます。
・三 前途に光明を認める/73
禁煙し、体調に気を付けた結果、不安感はとれ幸せだと感じられるようになりました。
・四 善性の知感集まり来る/74
色々な事に興味が出てきて、そのことを有意義に活用できるようになりました。
・五 煙草を用ふるは不利益なり/74
「人は、何事にあれ嗜好が多いほどそれだけ得だ」という言葉があるが、喫煙は例外である。
・六 世人に向って之れが実行を勧告す/75
禁煙をすることで、各自が持っている才能を遺憾なく発揮できます。


約100年前に出版された本ですが、現在の健康、禁煙啓発本の内容を包括しています。

作者の人は、「生活を律し、運動をし、酒、煙草、お菓子などの嗜好品を控える事で精力的に活動できる」ことを繰り返し書いています。このあたりは、「最近の若い者はダメだ」に通じる部分があるのかもしれません。

日露戦争のあと禁酒禁煙ブームがあったようなので、いろいろな書籍が発売されているようです。
興味のある方はいかがでしょうか?


カテゴリー:煙草、手巻き、タバコ、たばこ、葉巻、シガー、パイプ

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